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『枕草子』はどんな内容?清少納言の随筆と「をかし」の美意識を解説

清少納言が書いた、日本最古級の随筆

『枕草子』は、平安時代中期(11世紀初頭)に、一条天皇の后である中宮定子に仕えた女房・清少納言によって書かれた随筆です。物語のような一貫した筋書きを持つ作品ではなく、日々の宮廷生活の中で見聞きしたこと、自然や事物についての感想、心に残った出来事などを、思いつくままに書き綴った文章の集まりという点が、『源氏物語』のような物語文学とは大きく異なります。

どんな内容が書かれているか

『枕草子』の内容は、大きく分けて3つの種類の文章から成り立っています。ひとつは「春はあけぼの」で始まる有名な冒頭のように、四季や自然の美しさを綴った文章。ふたつめは「うつくしきもの(かわいらしいもの)」「にくきもの(腹立たしいもの)」のように、あるテーマに沿って具体的な物事を列挙していく類聚的章段(るいじゅうてきしょうだん)。みっつめは、中宮定子に仕えていた日々の出来事を回想する日記的章段です。この3種類の文章が、全体でおよそ300段前後にわたって並んでいます。

「春はあけぼの」に見る、情景の切り取り方

冒頭の「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる」という一節は、春という季節の美しさを、明け方の空の色の移り変わりという一瞬の情景だけで表現しています。「春が美しい理由」を説明するのではなく、実際に目にした光景をそのまま切り取って見せることで、読み手にも同じ感動を追体験させる書き方であり、これは現代で言う「説明せず描写で見せる」技法そのものです。

「をかし」という美意識

『枕草子』を貫く感性を表す言葉としてよく挙げられるのが「をかし」です。「趣がある」「興味深い」「気が利いている」といった、知的で明るい面白さを指す言葉で、後の『源氏物語』における「もののあはれ」(しみじみとした情緒)としばしば対比されます。同じ平安時代の宮廷文学でありながら、感傷的な情緒よりも、物事を観察して面白がる知性的な視点が『枕草子』の持ち味だとされています。

类聚的章段に見る、リストで語る技法

「うつくしきもの」の段では、「雀の子の、ねず鳴きするに踊り来る」(ねずみの鳴き真似をすると踊るように寄ってくる雀の子)のように、具体的な情景を短く並べていくことで、抽象的な「かわいらしさ」という概念を読者に伝えています。感情や概念を直接説明する代わりに、その感情を呼び起こす具体例をいくつも列挙するという書き方は、エッセイやコラムだけでなく、キャラクターの人物像を読者に印象づけたいときにも応用できる発想です。

モノ書きでの使い方

『枕草子』のように、四季の情景や日々の気づきを書き留めておく習慣は、アイディアノートの使い方としてもそのまま参考になります。何気ない情景の描写や、心に残った言い回しをそのつどメモしておくと、後で本文の描写に厚みを持たせたいときの引き出しとして役立ちます。キャラクターの個性を伝えたいときも、性格を直接説明するのではなく、「うつくしきもの」のように好きなもの・嫌いなものを具体的に列挙してキャラクターページに書き添えておくと、人物像が浮かび上がりやすくなります。