起承転結・三幕構成・序破急——プロットテンプレートの選び方
起承転結・三幕構成・序破急は矛盾しない
プロットを作ろうとしたとき、「起承転結」「三幕構成」「序破急」など、聞いたことはあってもどれを使えばいいのか分からない、という方は多いのではないでしょうか。実はこれらは互いに矛盾するものではなく、物語を分解する切り口が違うだけです。どのテンプレートも「読者を飽きさせず、最後まで連れて行く」という同じ目的のために作られた、いわば地図の縮尺違いのようなものだと捉えると理解しやすくなります。
起承転結:短編やテンポ重視の型
起承転結は、話を「起」(導入)「承」(展開)「転」(急展開)「結」(結末)の4つに分ける、日本語の物語で馴染み深い構成です。短編や、テンポよく展開させたい話との相性が良い型です。「起」で世界観と主人公を提示し、「承」で日常や関係性を積み上げ、「転」で予想外の出来事によって状況を一変させ、「結」で変化した結果を描く、という流れを意識すると、短い分量でも読み応えのある構成になります。
起承転結を使う際によくある失敗は、「転」に十分なインパクトを持たせられず、単に話が進んだだけの「承」の延長になってしまうことです。「転」では、それまでの前提を覆すような出来事——正体の露見、立場の逆転、予想外の裏切りなど——を用意すると、構成全体にメリハリが生まれます。
三幕構成:長編向きの型
三幕構成は、ハリウッド映画の脚本理論から広まった構成で、「設定」「対立」「解決」の3幕に分け、幕の変わり目に大きな転換点を置きます。主人公が困難に立ち向かい成長していく、長編向きの構成です。一般的な目安として、第1幕を全体の4分の1、第2幕を半分、第3幕を残りの4分の1程度の分量で配分すると、テンポの良いバランスになるとされています。
三幕構成の中間点(第2幕のちょうど真ん中あたり)には、物語の方向性が変わる中間転換点を置くのが定石です。ここで主人公の目的や状況が一段階変化することで、中盤が間延びするのを防ぎ、クライマックスへ向かう推進力を保つことができます。長編を書いていて中盤がだれると感じたときは、この中間転換点が弱くなっていないかを見直すとよいでしょう。
序破急:緩急を強く意識する型
序破急は、能や雅楽に由来する日本の伝統的な構成で、「序」でゆっくり始め、「破」で変化を加えて展開し、「急」で一気に締めくくります。緩急の付け方を強く意識したい作品に向いています。特に「急」の部分は他の構成と比べて短く畳みかけるように展開させるのが特徴で、テンポの緩急そのものが読者の感情を揺さぶる仕掛けになります。
テンプレートは入れ子にして組み合わせられる
これらのテンプレートは、作品全体だけでなく、章単位やエピソード単位といった小さな単位にも入れ子のように適用できます。作品全体を三幕構成で組み立てながら、個々の章は起承転結で構成する、というように異なるスケールで組み合わせることで、大きな流れと細部のテンポの両方を制御しやすくなります。
自分に合ったテンプレートの見つけ方
どのテンプレートを選ぶか迷ったときは、自分が読んで面白いと感じた作品の構成を分析してみるのも一つの方法です。好きな作品のあらすじを箇条書きにし、どのテンプレートの型に近いかを当てはめてみると、自分の作風に合った構成の感覚がつかみやすくなります。
テンプレートはあくまで型であり、絶対のルールではありません。型通りに進めることに窮屈さを感じたら、部分的に崩したり、複数の型を混ぜたりしても構いません。大切なのは型に従うことそのものではなく、型を手がかりに「読者を飽きさせない構成になっているか」を点検する視点を持つことです。
モノ書きでの使い方
どれか一つに縛られる必要はなく、章ごとに起承転結を、作品全体では三幕構成を意識する、といった組み合わせ方もできます。モノ書きのプロットタブでは、この3つのテンプレートに加えて自由項目のカスタムテンプレートも選べるので、作品や書き手の好みに合わせて試してみてください。