推敲のやり方:検索・置換機能を使った表記ゆれチェック
表記ゆれは読者の集中を途切れさせる
書き終えた原稿を読み返すと、同じ語尾や言い回しを無意識に繰り返し使っていたり、途中から漢字とひらがなの表記が変わっていたりすることに気づきます。こうした表記ゆれは、一度気になり始めると読者の集中を途切れさせる原因になります。「彼女」が途中から「彼女」と「かのじょ」の両方の表記で登場するようになっていた、というような些細なズレでも、積み重なると読後感に影響します。
なぜ長編ほど表記ゆれが起きるのか
表記ゆれが生まれる原因の多くは、執筆期間が長期にわたることにあります。数ヶ月、場合によっては1年以上かけて書き上げる長編では、序盤を書いていたときの表記の癖と、終盤を書いているときの表記の癖が微妙に変化していくのは、ある意味で自然なことです。だからこそ、書き終えた後の機械的なチェックが必要になります。
目視チェックの限界と検索の効果
最初から最後まで目視だけで表記ゆれを探すのは、長編になるほど非現実的です。特定の単語や言い回しが作品中に何度出てきているかを機械的に洗い出せると、推敲の効率は大きく変わります。人間の目は「読めてしまう」ため、実際には表記が揺れていても、文脈から正しく補完して読み飛ばしてしまうことが多く、目視だけのチェックには限界があります。
よくある表記ゆれのパターン
よくある表記ゆれには、人物名の漢字・ひらがな表記の揺れ、「~だった」のような語尾の連続、「という」「ということ」といった冗長な言い回しの多用などがあります。気になる表現を一つ検索してみるだけでも、思っていた以上に使っていることに気づくはずです。特に「~のような」「~のように」といった比喩表現や、「少し」「なんとなく」といった曖昧な副詞は、無意識のうちに多用しがちな表現です。
語尾の連続は、3文以上続けて同じ語尾(「~した。~した。~した。」など)が使われていないかを重点的にチェックすると効果的です。単調な語尾の連続は文章のリズムを損ない、読んでいて気づかないうちに単調な印象を与えてしまいます。検索結果を眺めるだけでも、連続している箇所が視覚的に把握しやすくなります。
検索機能はバランスチェックにも使える
検索機能は、表記ゆれのチェックだけでなく、キャラクター名や固有名詞の登場回数を確認する用途にも使えます。特定のキャラクターの出番が想定より少なかったり、逆に脇役なのに登場回数が多すぎたりといった、プロット段階では気づきにくいバランスの偏りを、検索結果の数から客観的に把握することができます。
一括置換ではなく一つずつ確認する
置換を使う際は、一括置換ボタンをいきなり押すのではなく、検索結果を一つずつ確認しながら直す方が安全です。同じ単語でも文脈によって直すべきかどうかが変わるため、機械的な一括置換はかえって不自然な文章を生むことがあります。特に人物名や固有名詞の置換は、セリフの中の言い回しとして意図的に別表記を使っている場合もあるため、慎重な確認が欠かせません。
削れる言葉を探すのも推敲のうち
推敲の際は、表記ゆれのチェックと合わせて、削れる言葉を探す作業も並行して行うと効果的です。「そして」「しかし」といった接続詞や、「とても」「かなり」といった強調の副詞は、なくても意味が通じる箇所に使われていることが多く、削るだけで文章が引き締まることがあります。
一通りのチェックが終わったら、最後に通読して全体のリズムを確認する時間も取っておきましょう。個々の表現を機械的に直した結果、文章全体の流れがぎこちなくなっていないかは、通して読んでみないと分からないことも多いためです。
モノ書きでの使い方
モノ書きの検索・置換機能は、いま開いているシーンの中で単語や言い回しを検索できます。見つかった箇所へそのままジャンプして文脈を確認しながら直せるので、表記ゆれのチェックから修正までを一つの画面で完結できます。別のシーンも、同じ手順で順に確認できます。